オペアンプ回路



  オペアンプ(Operational Amplifier:演算増幅器)とは、非反転入力(+)と反転入力(−)の2入力で動作する差動増幅素子であり、増幅回路のみならず、コンパレーター(電圧比較器)、発振回路、積分回路などに応用できる。



  (1) コンパレーターによるレベルメータ( = バーグラフ式電界強度計):

  LM324(オペアンプ×4)による、コンパレータ機能とLED点灯(小型のもの)を兼ねる回路で作成した。
  入力処理部分は、高周波の電磁波にも対応できるようにした。電源は3VではLEDはかなり暗い。
  LEDは入力の反対側(= Vccを10分割する3.3kΩ抵抗列のアース側)から順次光ることに注意。

  




  (2) V−f コンバータ と mV計:

  オペアンプ同士、あるいは、オペアンプとデジタルICを組み合わせて、直線性の良い低周波発振器を作ることができる。
  この回路では、数10mV程度の電圧入力を、数百Hzのパルス出力に変換する。





  V−f コンバータの出力の直線性の良い範囲を選び、低周波用の周波数カウンタ(最低桁1Hz、1秒カウント)に入れると、直読のmV計になる。この場合、LM324の1ピンからのノコギリ波を入力すると安定にカウントする。
  低周波用の4桁周波数カウンターは、5(3)の”レジスタ機能付き7セグメントLED表示回路”を4つつなげたもので、1(S)のCK、Resetを入れ、下図のプリアンプを付ける。

 

  


  (* 尚、mV計、および、その応用回路・・・・各種センサからのmV出力を周波数に変換 + カウント表示する方式で、温度計、容量計、インダクタンス・メータ、pHメータなどを作ることができ、LSIを用いたコンパクトな形で、キットとして市販されています。(by.秋月電子)

  



  (3) 正弦波発振器:


  オペアンプ(TL082の@)を用いてウィーンブリッジによる正弦波発振器を作る。

  非反転増幅の場合、オペアンプの増幅率が3のときにのみ、すなわち、ブリッジの平衡条件のときにのみ発振し、それ以外の増幅率では発振しないか歪む。
  したがって、特に、 C1 = C2 = C、 R1 = R2 = R のとき、 3 = 1 + R4/R3、 ∴ R4 = 2・R3 とする必要があり、図の2SK30、TL082のAによるAGC回路によって、周波数や出力によらない一定の抵抗値 R3 = R4/2 が出るように構成する。




  このとき、発振周波数は、 f = 1/(2πRC) となる。図の回路での測定結果は、 C: .01μF、 R: 100kΩの2連VR、 電源電圧10Vで、 出力4Vp−p、 f = 150Hz〜10kHz程度で形の良い正弦波となった。(50kHzくらいまで発振するが、10kHz以上では歪む)

  ブリッジからの出力は、LM380によるAF増幅器によって出力8Ω・1.5Wまで出力することができ、波形と周波数をモニターしながら、正弦波の音を充分スピーカで鳴らすことができた。(矩形波と比べて柔らかい音)

  



  (4) ガウス・メータ(簡易磁力計):


  比較的手に入りやすいホール素子 THS119(主に磁気センサとして用いられる)を用いて、零調(100kΩ半固定VR)と出力の調整(200kΩ多回転半固定VR)ができるガウス・メータを作成する。オペアンプには汎用オペアンプのLM324を用いたが、部品が手に入るならば、低電圧動作のNJU7032×2個を使用した方が良い。このとき回路図のR*を取る。 (* オフセット電圧が非常に小さいオペアンプ、単一電源オペアンプなどが市販されている)

  ホール素子THS119そのものは、2000G(ガウス)程度までは、直線性良くホール電圧 V = k I・B(2(+)ピン−4(−)ピン間;0−160mV)を発生する(at. Ic = 5mA、25℃)。
  直線性を問題にしない 磁気センサ(交番磁界や磁気検出など)として用いる場合は、次のようである。

    

  ガウスメータの出力は、デジタルmVパネルメータ(2000mVレンジを2000Gとする; 別電源が必要)、または、デジタルテスターに入れて直読する。

  較正は、ヘルムホルツコイルで行なうが、高磁場では磁石で目安とするしかない。
  コイルの半径(=コイル間距離):a=2.5cm、それぞれのコイルの巻き数:N=100T、電流:I=1A として、コイルの中心間の中点における磁界の強さは、
       H = 0.715×100/0.025 = 2860(A/m)、 ∴ B = 36.0(G) となる。

  (* 大きなスピーカーのポールピース間の磁場は約10(kG)。 地磁気は約0.3−0.5(G)。 直径約10mmの表面磁束密度は、ネオジム:4200(G)、サマコバ:3300(G)、フェライト:1200(G)といわれる。)





  (5) 導電率計:


  交流ブリッジを用いた溶液の導電率計を作成する。

  交流を印加する電極部分は、約3kHz、7V程度の交流が与えられ、小型トランス(ST73A; 1kΩ:1kΩ、 1次と2次の巻き数が同じでセンタータップがあるものならば何でも良い)を介しているので、DC電圧や電池反応などの影響を受けにくい。
  オペアンプには741を用いたので、出力電圧を電源電圧いっぱいに振る事ができず、電源は+12V、0、−12Vのものをしっかりと作らなければならない。(この場合10Vで飽和する)
  741の零調は、電極オープン時VR1(10kΩ)により、出力の調整はVR2(10kΩ)によって行なう。
  アナログスイッチの4066は、トランスからの入力がランダムにならないように同期整流するために入れる。(計測器一般の手法)

  最初は、ダミーとして100kΩVRを電極の代わりに付け試運転する。
  R*の2.2kΩはブリッジの一辺であり、目的の溶液の抵抗値によって決める。(1%までのNaCl:470Ω〜1kΩ、純水にCO2が溶け込む変化:22kΩなど、切り替え可としても良い)




 

  食塩(NaCl)水溶液を用いた標準液(下表)によって較正する場合、溶液に浸す電極はステンレス線(φ0.7mm、間隔10mm、浸す長さ5mm)を用い、浸さない部分は細いビニールチューブとエポキシで覆った。(カーボン電極(鉛筆の芯を焼いたものなど)を使用すると、塩素イオンや酸にも安定な測定結果が得られる。)

  (注意) ・ 電極の周りにはある程度 電解領域が必要なので、容器の壁面や底面から1cm以上離す事。

       ・ 零調は、発振コンデンサーの温度特性から頻繁に行なう必要がある。零点を安定化させるためには、発振部を水晶+PICにする。



  * NaCl 水溶液(文献値):  1S(シーメンス)/cm = 100S/m、 10mS/cm = 0.01S/cm = 1S/m

  NaCl(g)/水溶液(100ml)   0.1   0.5   1.0   1.5   2.0
   導電率 σ(mS/cm)   2.0   9.2  17.6  25.6  33.0

  * KCl 水溶液(文献値):  0.744(g/l):1.409(mS/cm)、 7.437(g/l):12.86(mS/cm)、 74.246(g/l):111.34(mS/cm)


  (調整の一例)

   


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